ウォーターフォール型とアジャイル型の違い
前に戻らず進めるか、短いサイクルを繰り返すか
- ウォーターフォール型とアジャイル型は、ソフトウェアの開発手法の2つの代表です。どちらも優れた手法で、目的に合わせて選びます。
- ウォーターフォール型は、工程を順番に進めて、前の工程には戻らない計画駆動の開発、アジャイル型は、短い開発サイクルを繰り返して、動くものを積み上げる開発です。
- 選ぶ目安は仕様変更の有無です。仕様が固まった大規模開発はウォーターフォール型、仕様の調整が起きやすい開発はアジャイル型が向きます。
ウォーターフォール型とは
最初に開発の計画をしっかり立てて進める、計画駆動型の代表です。要件定義からシステムテストまでを、開発するシステム全体に対して一連の作業として進めます。各工程を順番に完了させ、基本的に前の工程には戻りません。システム全体の仕様は明確で、全体のスケジュールも最初から決まっています。
工程は、上から順に次のとおりです。
- 要件定義: システムが提供する機能や性能、制約条件を定める。
- 基本設計: その機能や性能を達成するための、システム構成を決める。
- 詳細設計: 決めた構成を、具体的な実装の方法に分解する。
- プログラミング: 設計にもとづいてプログラムを作る。
- 単体テスト: 個々のプログラムモジュールが、要件を満たしているかを確かめる。
- 統合テスト: 複数のモジュールを組み合わせて、動作を確かめる。
- システムテスト: ユーザの利用を想定して、システム全体が正常に動くかを確かめる。
アジャイル型とは
短い開発サイクルを繰り返し、ユーザのニーズを確かめながら進める手法の総称です。サイクルごとに動くソフトウェアをリリースし、各サイクルで品質を確保します。動くソフトウェアを積み上げて、システム全体が動くゴールにたどり着きます。
考え方のもとは、2001年のアジャイルソフトウェア開発宣言です。左側のことにも価値があると認めたうえで、次の右側により価値をおくとしています。
- プロセスやツールよりも個人と対話を
- 包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを
- 契約交渉よりも顧客との協調を
- 計画に従うことよりも変化への対応を
流派には、スクラム、XP(Extreme Programming)、リーンなどがあります。
どちらを選ぶか
目安は仕様変更の有無です。
- 仕様が固まっていて変更が少ない大規模システム(要件が明確な金融システムなど)には、ウォーターフォール型が向きます。
- 開発中に仕様を調整する、市場や顧客の要求で変更が起きやすいシステム(Web サービスなど)や、試行錯誤で進める開発には、アジャイル型が向きます。
違いを表で比べる
| 比べること | ウォーターフォール型 | アジャイル型 |
|---|---|---|
| 進め方 | 計画駆動。工程を順番に完了させ、前には戻らない | 短い開発サイクルを繰り返し、ユーザのニーズを確かめる |
| 全体の仕様・日程 | 最初から明確に決まっている | 動くソフトウェアを積み上げてゴールへ。変化に対応する |
| 向くシステム | 仕様が固まり、変更が少ない大規模開発 | 開発中に仕様を調整する Web サービスなど、試行錯誤で進める開発 |
| 判断の目安 | 仕様変更がない | 仕様変更が考えられる |
| 関連する用語 | 要件定義、基本設計、詳細設計、各テスト | 開発宣言、スクラム、XP、リーン |
試験での問われ方
IoTシステム技術検定 中級では、第8章「IoTシステムの開発・運用・保守上の留意点」で出ます。もちこ道場の第8章の問題(全50問)のうち、ウォーターフォール型・アジャイル型を扱う問題は18問あります。
- 穴埋め: 「要件定義からシステムテストまでを、システム全体でまとめて進め、全体のスケジュールを最初に決める手法」にウォーターフォールを選ぶ。選択肢にはアジャイル・プロトタイプ・スパイラルが並びます。
- 穴埋め: 「計画に従うことよりも[ ]」に、変化への対応を選ぶ。アジャイルソフトウェア開発宣言の別の項目が並びます。
- 2つの空欄: 「仕様が定まっている大規模開発」と「開発中に仕様調整が起きる Web サービスなど」に、ウォーターフォール型とアジャイル型を正しい順で入れる。
- 記述を選ぶ: 「アジャイル型は、前の工程に戻らない前提で、全体の仕様を明確にして進める」のように、2つの性質を入れ替えた記述を見抜く。
覚え方
- ウォーターフォールは「滝」。水が上から下へ流れて戻らないように、工程が一方向に進みます。
- アジャイルは「素早い」。短いサイクルで動くものを出し、変化に素早く対応します。
- 迷ったら、仕様が固まっているかで選びます。固まっているならウォーターフォール、変わりそうならアジャイルです。
第8章のほかの用語は「第8章 IoTシステムの開発・運用・保守上の留意点の要点」にまとめています。
第8章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第8章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
要件定義からシステムテストに至るまでの作業を開発対象のシステム全体でまとめて一連の流れとして行い、全体スケジュールを最初に決めて開発を進める手法は1型開発と呼ばれる。
答えと解説を見る
正解は 3(ウォーターフォール)です。
【概要】
ウォーターフォール型開発は、要件定義からシステムテストまでをシステム全体で順に進める計画駆動型の手法で、仕様も全体日程も開始時に確定している。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. アジャイルあなたの解答 アジャイル型は短い開発サイクルを繰り返して動くソフトウェアを積み上げる手法であり、全体日程を先に決める手法ではない。
- 2. プロトタイプあなたの解答 プロトタイプ型は試作品をユーザに見せて確認しながら進める手法であり、全工程を一括で順に進める本問の手法ではない。
- 3. ウォーターフォール正解あなたの解答 ウォーターフォール型は各工程を順番に完了させ前工程に戻らない前提で進め、全体の仕様と日程が最初から決まっている。
- 4. スパイラルあなたの解答 スパイラル型は小さな単位で開発とテストを繰り返す手法であり、システム全体を一連の流れで一度に開発する手法ではない。
問2
2001年に提唱されたアジャイルソフトウェア開発宣言において、「計画に従うことよりも1」がより価値をおくものとされている。
答えと解説を見る
正解は 4(変化への対応)です。
【概要】
アジャイルソフトウェア開発宣言は、計画に従うことにも価値があると認めつつ、変化への対応により価値をおくとしている。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. プロセスやツールあなたの解答 プロセスやツールは、宣言で個人と対話と対比される左側の項目であり、計画に従うことと対になる語ではない。
- 2. 包括的なドキュメントあなたの解答 包括的なドキュメントは、宣言で動くソフトウェアと対比される左側の項目であり、本問の空欄には当てはまらない。
- 3. 契約交渉あなたの解答 契約交渉は、宣言で顧客との協調と対比される左側の項目であり、計画に従うことと対になる語ではない。
- 4. 変化への対応正解あなたの解答 変化への対応は、計画に従うことよりも重視される右側の価値であり、PMBOK第7版にも反映された価値観である。
第8章のほかの問題は、ベーシックプランで解けます。まずは登録なしで、第1章の50問を試せます。
よくある質問
スパイラル型は、ウォーターフォール型の仲間ですか?
いいえ。スパイラル型は、小さな単位で開発とテストを繰り返す手法で、アジャイル型とプロトタイプ型の両方の考え方を取り入れたものです。ユーザは完成前に動くものを確認できます。ウォーターフォール型との組み合わせは、次のハイブリッド開発です。
ハイブリッド開発とは何ですか?
ウォーターフォール型とアジャイル型の長所を生かすために、両者を組み合わせる手法です。たとえば、基本設計や総合テストはウォーターフォール型で、詳細設計やユーザニーズの抽出はアジャイル型で進めます。
スクラム・XP・リーンは、アジャイルとは別の手法ですか?
いえ、アジャイル型の流派です。これらを総称してアジャイルと呼びます。スクラムはチーム一丸で作業する、XP は変更に柔軟に対応しやすい、リーンはトヨタのカンバン方式の考え方を取り入れた手法です。
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出題範囲は、2026年11月2日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。