ストリーミング処理とバッチ処理の違い
発生した時点で処理するか、ためてまとめて処理するか

更新日 2026年11月2日 読む時間の目安 約5分
この記事の要点
  • IoT のデータを処理する方式は、ストリーミング処理とバッチ処理の2つに大きく分かれます。
  • ストリーミング処理は、データが発生した時点で逐次処理して、すぐに結果を出す方式(フロー型)、バッチ処理は、ためた大量のデータを定期的にまとめて分析する方式(ストック型)です。
  • バッチ処理には Hadoop(MapReduce)、ストリーミング処理にはリアルタイムメッセージシステム(Pub/Sub)や CEP が結び付きます。
この記事の目次
  1. ストリーミング処理とは
  2. バッチ処理とは
  3. 違いを表で比べる
  4. 試験での問われ方
  5. 覚え方
  6. 第3章の問題を解いてみる
  7. よくある質問

ストリーミング処理とは

データが発生したタイミングで逐次処理し、分析の結果をすぐに取り出す方式です。フロー型データ処理とも呼ばれます。

IoT では、多数のセンサやカメラの情報、大量のログデータが絶え間なく流れ込みます。システムが動いている限りデータは無限に発生するので、ためてから分析する方法には向かず、連続的に、少しずつ処理する必要があります。

  • 一刻を争う場面で効きます。たとえば、サイバー攻撃や内部の不正による情報漏えいの検知、製造工程の機器故障の検知、クレジットカードの不正利用の検知です。
  • センサのデータは、特徴や異常度などの処理した結果だけを残し、元のデータは破棄することもよくあります。

関係する用語

  • リアルタイムメッセージシステム: データの送信者と受信者を仲介者が取り持つ仕組みです。受信者が仲介者に「このデータを受け取りたい」と指示することを購読といい、この通信のモデルを Pub/Sub といいます。送信者も受信者も、相手を意識せずにやり取りできます。
  • CEP(複合イベント処理): 複数のデータ元から時系列に生まれるデータを、事前に決めた分析ルールにもとづいてリアルタイムに分析します。処理の対象は直近のデータで、その範囲をウィンドウと呼びます。

バッチ処理とは

サーバにたまった長期間分の大量のデータを、定期的にまとめて分析する方式です。ストック型データ処理とも呼ばれます。大規模データのバッチ処理の枠組みとして、Hadoop が代表的です。

Hadoop は、サーバを動的に追加して容量や処理の性能を強められ、データを入れる時点では表の構造の定義が要りません。その中の MapReduce は、次の3つの段階で処理します。

  1. Map 処理: 入力データを分割して、分析に必要な部分を取り出し、(キー、バリュー)の組のリストにする。
  2. シャッフル処理: そのリストを受け取り、キーの値ごとに、対応するバリューを集めたリストを作る。
  3. Reduce 処理: 集めたリストの要素を計算して、結果を出力する。
ストリーミング処理とバッチ処理の流れ ストリーミング処理(流れの中で処理) 発生 → その場で処理 → すぐ結果 Pub/Sub・CEP。異常の検知など、一刻を争う場面 バッチ処理(ためてからまとめて処理) 蓄積 → 定期的にまとめて分析 Hadoop(Map → シャッフル → Reduce) ストリーミング=フロー型、バッチ=ストック型
ストリーミング処理とバッチ処理の流れ(もちこ道場のまとめ)

違いを表で比べる

比べること ストリーミング処理 バッチ処理
呼び方 フロー型データ処理 ストック型データ処理
処理するタイミング データが発生した時点で逐次 ためたデータを定期的にまとめて
結果が出るまで すぐ(リアルタイム) 分析の周期を待つ
向く場面 異常の検知、不正の検知など一刻を争うとき 長期間の蓄積データの分析、判断や予測
元のデータ 処理した結果だけを残し、破棄することもある 蓄積して分析に使う
結び付く用語 Pub/Sub(購読)、CEP(ウィンドウ) Hadoop、MapReduce(シャッフル処理)

試験での問われ方

IoTシステム技術検定 中級では、第3章「IoTデータ活用技術」で出ます。もちこ道場の第3章の問題(全50問)のうち、ストリーミング処理・バッチ処理が出てくる問題は5問あります。

  • 穴埋め: 「長期間蓄積したデータを定期的に分析する処理」と「発生と同時に逐次処理する処理」に、バッチ処理とストリーミング処理を正しい順で入れる。逆の順の選択肢も並びます。
  • 穴埋め: 「絶え間なく流入するデータをリアルタイムで分析して、結果を即座に出す処理方式」に、ストリーミング処理を選ぶ。選択肢には、バッチ・ETL・MapReduce が並びます。
  • 記述を選ぶ: 「ストリーミング処理では、元のデータの保存が必須」のように、性質を入れ替えた記述を見抜く。

覚え方

  • ストリーミングは「流れ」。流れてくるデータを、その場で見て、すぐ判断します。
  • バッチは「ためて、まとめて」。ため池(ストック)にためたデータを、決まった時間にまとめて処理します。
  • 用語は結び付けて覚えます。Hadoop・MapReduce はバッチ、Pub/Sub・購読・CEP・ウィンドウはストリーミングです。

第3章のほかの用語は「第3章 IoTデータ活用技術の要点」にまとめています。

第3章の問題を2問、解いてみる

もちこ道場の第3章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。

問1

CEPでは、CEPエンジンが処理するのは直近のデータであり、その処理対象の範囲を1という。範囲は、直近の一定時間や、直近の一定個数などによって決まる。

答えと解説を見る

正解は 1(ウィンドウ)です。

【概要】

ウィンドウは、CEPエンジンの処理対象になる直近のデータの範囲である。一定時間以上たったデータはメモリ上から破棄される。

【図解】実験的機能

バッチ処理とストリーミング処理 バッチ処理とストリーミング処理

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. ウィンドウ正解あなたの解答 処理対象の範囲を指す語であり、直近の時間や個数で決まるという問題文の条件に合う。
  • 2. 入力アダプタあなたの解答 入力アダプタは、センサや他のシステムから入力データを受け取る部分であり、処理対象の範囲を表す語ではない。
  • 3. 出力アダプタあなたの解答 出力アダプタは、分析の結果をデータベースなど外部へ渡す部分であり、処理対象の範囲を表す語ではない。
  • 4. 分析ルールあなたの解答 分析ルールは、ストリーミング処理のために事前に設定する分析の基準であり、処理対象の範囲を表す語ではない。

問2

MapReduceで、Map処理が出力した(キー、バリュー)の組のリストを受け取り、キーの値ごとに対応するバリューを集めたリストを作って、Reduce処理に渡す処理を1という。

答えと解説を見る

正解は 4(シャッフル処理)です。

【概要】

シャッフル処理は、Map処理の出力を受け取り、キーごとにバリューを集めたリストを作る処理である。そのリストがReduce処理に渡される。

【図解】実験的機能

バッチ処理とストリーミング処理 バッチ処理とストリーミング処理

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. Map処理あなたの解答 Map処理は、入力データを分割して分析に必要な部分を抽出する処理であり、その出力を受け取ってリストを作る処理ではない。
  • 2. Reduce処理あなたの解答 Reduce処理は、渡されたリストの要素に対して計算を行い、結果を出力する処理であり、リストを作って渡す側の処理ではない。
  • 3. バッチ処理あなたの解答 バッチ処理は、長期間にわたり蓄積した大量のデータを定期的に分析する処理の呼び名であり、MapReduce内部の段階の名称ではない。
  • 4. シャッフル処理正解あなたの解答 問題文のキーの値ごとにバリューを集める、Reduce処理に渡すという役割に合う。
問題を解いて確かめる

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よくある質問

ストリーミング処理とバッチ処理は、どちらが優れていますか?

優劣ではなく、目的で使い分けます。教科書でも、分析結果を得るのに日次のバッチ処理で足りるのか、すぐに結果が必要なのかを、分析の基盤を選ぶ観点の1つにしています。一刻を争う異常の検知はストリーミング処理、時間をかけた分析はバッチ処理が向きます。

ストリーミング処理では、元のデータを必ず保存しますか?

必ずではありません。センサのデータは、特徴や異常度などの処理した結果だけを残して、元のデータは破棄したほうがよいこともよくあります。「元のデータの保存が必須」という記述は、問題では誤りとして出ます。

CEP は、ストリーミング処理とは別のものですか?

CEP(複合イベント処理)は、ストリーミング処理の方式の1つです。複数のデータ元から時系列に生まれるデータを、リアルタイムに処理・解析して出力します。処理の対象は直近のデータで、その範囲をウィンドウと呼びます。

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出典・注記

出題範囲は、2026年11月2日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。

  1. IoTシステム技術検定 中級(MCPC 公式)