ストリーミング処理とバッチ処理の違い
発生した時点で処理するか、ためてまとめて処理するか
- IoT のデータを処理する方式は、ストリーミング処理とバッチ処理の2つに大きく分かれます。
- ストリーミング処理は、データが発生した時点で逐次処理して、すぐに結果を出す方式(フロー型)、バッチ処理は、ためた大量のデータを定期的にまとめて分析する方式(ストック型)です。
- バッチ処理には Hadoop(MapReduce)、ストリーミング処理にはリアルタイムメッセージシステム(Pub/Sub)や CEP が結び付きます。
この記事の目次
ストリーミング処理とは
データが発生したタイミングで逐次処理し、分析の結果をすぐに取り出す方式です。フロー型データ処理とも呼ばれます。
IoT では、多数のセンサやカメラの情報、大量のログデータが絶え間なく流れ込みます。システムが動いている限りデータは無限に発生するので、ためてから分析する方法には向かず、連続的に、少しずつ処理する必要があります。
- 一刻を争う場面で効きます。たとえば、サイバー攻撃や内部の不正による情報漏えいの検知、製造工程の機器故障の検知、クレジットカードの不正利用の検知です。
- センサのデータは、特徴や異常度などの処理した結果だけを残し、元のデータは破棄することもよくあります。
関係する用語
- リアルタイムメッセージシステム: データの送信者と受信者を仲介者が取り持つ仕組みです。受信者が仲介者に「このデータを受け取りたい」と指示することを購読といい、この通信のモデルを Pub/Sub といいます。送信者も受信者も、相手を意識せずにやり取りできます。
- CEP(複合イベント処理): 複数のデータ元から時系列に生まれるデータを、事前に決めた分析ルールにもとづいてリアルタイムに分析します。処理の対象は直近のデータで、その範囲をウィンドウと呼びます。
バッチ処理とは
サーバにたまった長期間分の大量のデータを、定期的にまとめて分析する方式です。ストック型データ処理とも呼ばれます。大規模データのバッチ処理の枠組みとして、Hadoop が代表的です。
Hadoop は、サーバを動的に追加して容量や処理の性能を強められ、データを入れる時点では表の構造の定義が要りません。その中の MapReduce は、次の3つの段階で処理します。
- Map 処理: 入力データを分割して、分析に必要な部分を取り出し、(キー、バリュー)の組のリストにする。
- シャッフル処理: そのリストを受け取り、キーの値ごとに、対応するバリューを集めたリストを作る。
- Reduce 処理: 集めたリストの要素を計算して、結果を出力する。
違いを表で比べる
| 比べること | ストリーミング処理 | バッチ処理 |
|---|---|---|
| 呼び方 | フロー型データ処理 | ストック型データ処理 |
| 処理するタイミング | データが発生した時点で逐次 | ためたデータを定期的にまとめて |
| 結果が出るまで | すぐ(リアルタイム) | 分析の周期を待つ |
| 向く場面 | 異常の検知、不正の検知など一刻を争うとき | 長期間の蓄積データの分析、判断や予測 |
| 元のデータ | 処理した結果だけを残し、破棄することもある | 蓄積して分析に使う |
| 結び付く用語 | Pub/Sub(購読)、CEP(ウィンドウ) | Hadoop、MapReduce(シャッフル処理) |
試験での問われ方
IoTシステム技術検定 中級では、第3章「IoTデータ活用技術」で出ます。もちこ道場の第3章の問題(全50問)のうち、ストリーミング処理・バッチ処理が出てくる問題は5問あります。
- 穴埋め: 「長期間蓄積したデータを定期的に分析する処理」と「発生と同時に逐次処理する処理」に、バッチ処理とストリーミング処理を正しい順で入れる。逆の順の選択肢も並びます。
- 穴埋め: 「絶え間なく流入するデータをリアルタイムで分析して、結果を即座に出す処理方式」に、ストリーミング処理を選ぶ。選択肢には、バッチ・ETL・MapReduce が並びます。
- 記述を選ぶ: 「ストリーミング処理では、元のデータの保存が必須」のように、性質を入れ替えた記述を見抜く。
覚え方
- ストリーミングは「流れ」。流れてくるデータを、その場で見て、すぐ判断します。
- バッチは「ためて、まとめて」。ため池(ストック)にためたデータを、決まった時間にまとめて処理します。
- 用語は結び付けて覚えます。Hadoop・MapReduce はバッチ、Pub/Sub・購読・CEP・ウィンドウはストリーミングです。
第3章のほかの用語は「第3章 IoTデータ活用技術の要点」にまとめています。
第3章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第3章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
CEPでは、CEPエンジンが処理するのは直近のデータであり、その処理対象の範囲を1という。範囲は、直近の一定時間や、直近の一定個数などによって決まる。
答えと解説を見る
正解は 1(ウィンドウ)です。
【概要】
ウィンドウは、CEPエンジンの処理対象になる直近のデータの範囲である。一定時間以上たったデータはメモリ上から破棄される。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. ウィンドウ正解あなたの解答 処理対象の範囲を指す語であり、直近の時間や個数で決まるという問題文の条件に合う。
- 2. 入力アダプタあなたの解答 入力アダプタは、センサや他のシステムから入力データを受け取る部分であり、処理対象の範囲を表す語ではない。
- 3. 出力アダプタあなたの解答 出力アダプタは、分析の結果をデータベースなど外部へ渡す部分であり、処理対象の範囲を表す語ではない。
- 4. 分析ルールあなたの解答 分析ルールは、ストリーミング処理のために事前に設定する分析の基準であり、処理対象の範囲を表す語ではない。
問2
MapReduceで、Map処理が出力した(キー、バリュー)の組のリストを受け取り、キーの値ごとに対応するバリューを集めたリストを作って、Reduce処理に渡す処理を1という。
答えと解説を見る
正解は 4(シャッフル処理)です。
【概要】
シャッフル処理は、Map処理の出力を受け取り、キーごとにバリューを集めたリストを作る処理である。そのリストがReduce処理に渡される。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. Map処理あなたの解答 Map処理は、入力データを分割して分析に必要な部分を抽出する処理であり、その出力を受け取ってリストを作る処理ではない。
- 2. Reduce処理あなたの解答 Reduce処理は、渡されたリストの要素に対して計算を行い、結果を出力する処理であり、リストを作って渡す側の処理ではない。
- 3. バッチ処理あなたの解答 バッチ処理は、長期間にわたり蓄積した大量のデータを定期的に分析する処理の呼び名であり、MapReduce内部の段階の名称ではない。
- 4. シャッフル処理正解あなたの解答 問題文のキーの値ごとにバリューを集める、Reduce処理に渡すという役割に合う。
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よくある質問
ストリーミング処理とバッチ処理は、どちらが優れていますか?
優劣ではなく、目的で使い分けます。教科書でも、分析結果を得るのに日次のバッチ処理で足りるのか、すぐに結果が必要なのかを、分析の基盤を選ぶ観点の1つにしています。一刻を争う異常の検知はストリーミング処理、時間をかけた分析はバッチ処理が向きます。
ストリーミング処理では、元のデータを必ず保存しますか?
必ずではありません。センサのデータは、特徴や異常度などの処理した結果だけを残して、元のデータは破棄したほうがよいこともよくあります。「元のデータの保存が必須」という記述は、問題では誤りとして出ます。
CEP は、ストリーミング処理とは別のものですか?
CEP(複合イベント処理)は、ストリーミング処理の方式の1つです。複数のデータ元から時系列に生まれるデータを、リアルタイムに処理・解析して出力します。処理の対象は直近のデータで、その範囲をウィンドウと呼びます。
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