第5章 IoTデバイスの要点
センサ、モータ、I2C・SPI、MEMS、エナジーハーベスティングを整理

更新日 2026年10月26日 読む時間の目安 約6分
この記事の要点
  • 第5章は、データを集めて機器を動かすIoTデバイスの中身の章です。センサ、アクチュエータ(モータ)、信号の処理、マイコンとの通信、電源を扱います。
  • サーミスタと白金測温体、ホール素子と磁気抵抗素子、I2C と SPI、ブラシレス DC モータとステッピングモータのように、似た部品の違いが問われます。
  • 用語は「部品の種類」で6つに分けると覚えやすくなります。
この記事の目次
  1. この章で問われること
  2. 6つのまとまりと押さえる用語
  3. 取り違えやすい組み合わせ
  4. この章の勉強の進め方
  5. 第5章の問題を解いてみる
  6. よくある質問

この章で問われること

第5章「IoTデバイス」は、第4章までに出てきたデータを集める側の機器の、部品の中身を扱う章です。センサで測り、アクチュエータで動かし、マイコンとやり取りする部品と、その電源がテーマです。第6章の試作で、これらを組み合わせます。

本番の80問のうち、第5章からは10問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(80問・90分)は、出題範囲の分野の割合に合わせて章ごとの問題数を決めていて、第5章からは10問を出しています。試験全体の約13%にあたります。

もちこ道場の第5章の問題は50問です。形式ごとの内訳は、次のとおりです。

形式 問題数
穴埋め(1か所) 20問
穴埋め(組み合わせ) 10問
正しい記述を選ぶ 10問
誤った記述を選ぶ 10問

出てくる用語は、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。

第5章の用語の6つのまとまり 1. 役割と電源 入出力部・電源 2. 温度・光・磁気 サーミスタ・ホール素子 3. 動き・距離・画像 ジャイロ・超音波 4. モータ ブラシレス・ステッピング 5. 信号と通信 A/D変換・I2C・SPI 6. MEMS・測位 MEMS・GPS
第5章の用語の6つのまとまり(もちこ道場のまとめ)

6つのまとまりと押さえる用語

1. デバイスの役割と電源

用語 ひとことで
入出力部 センサ・アクチュエータと信号・データ処理部を結ぶ。デジタル信号の入出力、A/D 変換、シリアル通信を持つ
物理センサと化学センサ 光・磁気・温度・力などは物理センサ。湿度・匂い・味は化学情報で、化学センサが検出する
エナジーハーベスティング 周囲の環境から微小なエネルギーを集めて発電する。得られる電力は小さく、主にセンサモジュールの駆動に使う
ウェアラブル生体センサ 心電・血圧・体温・加速度などを測る。3軸加速度センサで活動量計の機能も実現できる

2. 温度・光・磁気のセンサ

用語 ひとことで
サーミスタ 金属酸化物の温度センサ。温度が上がると抵抗が大きく減る。感度がよい
白金測温体 温度が上がると抵抗が比例して増える
フォトダイオード・フォトトランジスタ 光を電気信号に変える。フォトトランジスタは光電流を増幅して感度を高めた素子。太陽電池はフォトダイオードの発電の働きを生かしたもの
カラーセンサ 受光面に赤・緑・青の RGB のカラーフィルタを設けて色を識別する
ホール素子・磁気抵抗素子 磁気を検出する。磁気抵抗素子はホール素子に比べて約千倍の感度を持つ

3. 動き・距離・画像のセンサ

用語 ひとことで
加速度センサ 衝突検知や地震・傾斜の検出に使う
ジャイロセンサ 角速度を測る。振動ジャイロはコリオリ力を利用する
超音波センサ 波長が短く直進性がよい。反射が戻るまでの時間から距離を測る
TOF 方式 光の移動時間を計測して距離を求める距離センサの方式
CCD カメラ 光電変換素子を XY 平面に並べて、対象物を2次元の画像として取り込む
アクティブセンサ 自らビームを投光して、反射光で対象を検出する

4. アクチュエータ(モータ)

用語 ひとことで
DC モータ 直流電圧で回る。連続回転にはブラシと整流子が必要で、それが欠点になる
ブラシレス DC モータ ホール素子で回転子の位置をつかみ、ブラシを不要にした
ステッピングモータ 一定の角度ずつ回る
DC サーボモータ デジタル信号で回転角度を制御できる。角度センサの値でフィードバック制御する

5. 信号の処理とマイコンとの通信

用語 ひとことで
アナログ信号 センサの検出素子の出力は、一般にアナログ。OP アンプで増幅し、A/D 変換でデジタルにしてマイコンへ入れる
I2C 2線式(SCL・SDA)の同期シリアル通信
SPI 3線式の同期シリアル通信。I2C と並んで IoT で多く使われる
GPIO 汎用入出力。スイッチや LED のオン・オフに使う
PWM パルス幅変調。デジタル量をパルス幅に対応させて出力し、デューティ比で電力などを制御する
カットオフ周波数 ゲインが3dB下がって約70%になる周波数。センサが高い周波数の振動に追従できなくなる目安

6. MEMS・測位・新しい話題

用語 ひとことで
MEMS マイクロマシニングで作る機械構造体を持つチップ。表面マイクロマシンとバルクマイクロマシンがあり、IoT では集積化できる表面型が主流になりつつある
浮遊容量 設計者が意図せず発生する容量成分。MEMS では小さくでき、高感度化しやすい
マイクロレンズアレイ 画素ごとに配置して光を集め、画素の小型化による感度の低下を補う
ISFET イオン感応性の電界効果トランジスタ。半導体技術で作るため小型化でき、ガラス電極より丈夫
GPS 米国が運用する GNSS の一種。4つ以上の衛星の信号を受けて測位する
量子ビット 量子コンピュータで、0と1の重ね合わせの状態をとる

取り違えやすい組み合わせ

組み合わせ 見分け方
サーミスタと白金測温体 温度が上がると抵抗が減る(サーミスタ)か、比例して増える(白金測温体)か
ホール素子と磁気抵抗素子 どちらも磁気用。感度が約千倍高いのは磁気抵抗素子
フォトダイオードとフォトトランジスタ 光を電気にする素子か、光電流を増幅して感度を高めた素子か
I2C と SPI 2線式か、3線式か
ブラシレス DC モータとステッピングモータ ブラシを不要にしたか、一定の角度ずつ回るか
表面マイクロマシンとバルクマイクロマシン 集積化に向く(表面)か、精度の高い加工ができる(バルク)か
物理センサと化学センサ 光・磁気・温度・力か、湿度・匂い・味か

この章の勉強の進め方

  1. 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
  2. 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
  3. 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。

勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。

第5章の問題を2問、解いてみる

もちこ道場の第5章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。

問1

温度センサのうち、金属の酸化物を焼結した材料を用い、温度が上がるにつれて抵抗値が大きく減少する性質を持つものを1という。感度に優れるため、体温計のような家庭用の電気製品や自動車に広く使われている。

答えと解説を見る

正解は 3(サーミスタ)です。

【概要】

サーミスタは、焼結した金属酸化物を材料とする温度センサで、温度が上がると抵抗が大きく減少する。感度が良く、家庭用の電気製品や自動車で多く使われる。

【図解】実験的機能

温度センサと湿度センサ 温度センサと湿度センサ

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. 熱電対あなたの解答 熱電対は、異種の金属の両端を接続して両端の温度差から熱起電力を得る温度センサであり、抵抗の減少を利用する本問のセンサではない。
  • 2. 白金測温体あなたの解答 白金測温体は、温度が上がると抵抗が比例して増える温度センサであり、抵抗が大きく減少する本問のセンサとは逆の特性である。
  • 3. サーミスタ正解あなたの解答 サーミスタは、金属の酸化物の焼結材料を使い、温度上昇に伴って抵抗が大きく減少するため、問題文の条件に合う。
  • 4. 半導体温度センサあなたの解答 半導体温度センサは、半導体ダイオードの温度特性を利用して機器や基板の温度を測るものであり、金属酸化物の焼結材料を使う本問のセンサではない。

問2

IoTにおいて複数のセンサ信号を扱うため、マイコン側のマスタデバイスとセンサ側のスレーブデバイスとの間で1対N通信を行う同期シリアル通信インタフェースのうち、フィリップス社が提案した2線式のものを1という。

答えと解説を見る

正解は 1(I2C)です。

【概要】

I2Cはフィリップス社の提案による2線式の同期シリアル通信方式で、マスタが生成したクロックをSCLで送り、データはSDAでやり取りする。

【図解】実験的機能

センサとマイコンの接続インタフェース センサとマイコンの接続インタフェース

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. I2C正解あなたの解答 I2Cはフィリップス社提案の2線式同期シリアル通信で、SPIと並びIoTのセンサ接続に多く用いられている。
  • 2. UARTあなたの解答 UARTは非同期でシリアル通信を行う規格であり、フィリップス社が提案した2線式の同期インタフェースには当たらない。
  • 3. USBあなたの解答 USBは入出力部のシリアル通信でよく知られた規格の一つであり、本問のマスタとスレーブの2線式同期通信ではない。
  • 4. SPIあなたの解答 SPIはモトローラ社の提案による3線式の同期シリアル通信方式であり、2線式でフィリップス社提案ではない。
問題を解いて確かめる

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第1章を無料で解く

よくある質問

IoTデバイスは、データを送るだけの機器ですか?

いいえ。データを集めてサーバへ送るだけでなく、サーバから届く制御データに基づいて機器を動かす役割も持ちます。「送るだけ」とする記述は誤りとして出ます。

サーミスタと白金測温体は、どう見分けますか?

白金測温体は、温度が上がると抵抗が比例して増えます。サーミスタは焼結した金属酸化物を材料にし、温度が上がると抵抗が大きく減ります。この向きを入れ替えた記述が誤りとして出ます。

3次元の測位に GPS の衛星が4つ以上必要なのはなぜですか?

4つ以上の衛星の信号を受けて測位するのは、受信機の時計の誤差を補正するためです。もちこ道場の問題では、少なくとも4個の衛星を使う、という形で出ます。

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出典・注記

出題範囲は、2026年10月26日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。

  1. IoTシステム技術検定 中級(MCPC 公式)