第6章 IoTシステムのプロトタイピングの要点
PoC、Arduino と Raspberry Pi、MQTT、キャリブレーションを整理
- 第6章は、IoTシステムを試作して確かめるときの考え方と道具の章です。もちこ道場の模擬試験では2問と少なく、第1章〜第5章の知識を試作の場面に当てはめる章として読めます。
- PoC、Arduino と Raspberry Pi、CSV・XML・JSON、MQTT、キャリブレーションのように、試作で出会う用語が問われます。
- 出題数は少ないので、まず大きな章(第3章・第7章)を固めてから、この章で用語の確認をするのがおすすめです。
この章で問われること
第6章「IoTシステムのプロトタイピング」は、IoTシステムを試作して、実現できるかを確かめるときの考え方、使う道具、注意点を扱う章です。これまでの章(デバイス、通信、データ)の知識を、試作という場面に当てはめます。
本番の80問のうち、第6章からは2問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(80問・90分)は、出題範囲の分野の割合に合わせて章ごとの問題数を決めていて、第6章からは2問だけ出しています。試験全体の約3%にあたり、全8章の中では少ない配分です。
もちこ道場の第6章の問題は51問です。形式ごとの内訳は、次のとおりです。
| 形式 | 問題数 |
|---|---|
| 穴埋め(1か所) | 20問 |
| 穴埋め(組み合わせ) | 10問 |
| 正しい記述を選ぶ | 10問 |
| 誤った記述を選ぶ | 11問 |
出てくる用語は、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。
6つのまとまりと押さえる用語
1. 試作の考え方
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| プロトタイピング開発 | 動くモデルを早い段階で試作する。設計段階の事前検討 |
| PoC | 概念実証。実現可能性を、本開発の前に一部へ絞って検証する |
| FabLab | 3D プリンタなどを備えた市民工房のネットワーク。ラピッドプロトタイピングを後押しする |
| メイカームーブメント | 試作を後押しした要因の一つ(DIY の流れ) |
| 技適マーク | 無線機が技術基準に適合していることを示す。日本国内で使う無線機には必要 |
2. 試作のボード
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| Arduino | OS を持たないマイコンボード。回路図が公開されている。センサ接続は容易だが、ネット接続には別のモジュールが要る |
| mbed | OS を持たないマイコンボードの一つ |
| Raspberry Pi | OS(Linux など)を持つコンピュータボード。安価で高機能で、ネット接続が容易 |
| TWE-Lite | 2.4GHz帯の超小型無線モジュール。プログラムを作らずにセンサネットワークを構築できる |
| オープンソースハードウェア | 回路図などを公開する。公開されたものと同一の品で利益を得るのは暗黙のルールに反するとされる |
3. デバイスの基本構成
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 入力部 | センサ類など。周囲の状況を捉え、GPIO・アナログ入力・シリアル通信で処理部に取り込む |
| 出力部 | アクチュエータ類など |
| 処理部 | CPU を持つボードやタブレット、スマートフォンなどが担う(ファームウェアの位置づけは処理部ではない) |
| ゲートウェイの選び方 | ウェアラブルではスマートデバイス、移動体では 3G・LTE・5G・LPWA 対応機器、屋内では LAN や Wi-Fi |
4. 通信とデータ形式
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| CSV | 小さく扱いやすいが、構造化データには弱い |
| XML・JSON | 構造化データに対応する。データ単独での利活用や保管に向く |
| MQTT | 常時接続で、データだけを送って通信量を減らす。QoS は、メッセージが届くことをどの程度保証するかのレベル |
| HTTP | 少量のセンサデータに対して付加データが多い |
| HTTPS | HTTP に TLS を組み合わせ、通信を暗号化する |
| LPWA | 通信データが小さく、アクセスが少ない用途で効果が高い |
5. センサ値と電波の注意点
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 平均・中間値 | センサ値の誤差や誤動作に備え、複数回の平均や、並べ替えた中間値などの処理を検討する |
| キャリブレーション | センサの初期設定。ジャイロセンサや二酸化炭素センサで怠ると誤差が出る |
| RSSI | 受信信号強度を示す値 |
| 遮蔽物 | 電波強度に関わる。水分で減衰し、樹木の葉が茂る季節には届きにくくなることがある |
6. サーバ側と連携
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| PHP | PaaS で広く提供され、Web UI の枠組みが豊富 |
| Node.js | すべて JavaScript で開発できる |
| Ruby | 短く読みやすいコードを書ける |
| IFTTT | 多くの Web サービスと連携し、センサ値が閾値を超えたら知らせるなどができるツール |
取り違えやすい組み合わせ
| 組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| Arduino と Raspberry Pi | OS がない(Arduino)か、Linux などの OS がある(Raspberry Pi)か |
| PoC とプロトタイピング | 実現可能性の検証に絞るか、動くモデルを試作して確かめるか |
| CSV と XML・JSON | 単純な値向きか、構造化データ向きか |
| HTTP と MQTT | 付加データが多いか、常時接続で通信量を減らせるか |
| HTTP と HTTPS | 暗号化なしか、TLS で暗号化するか |
| 入力部・出力部・処理部 | センサ類か、アクチュエータ類か、CPU を持つボードか |
この章の勉強の進め方
- 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
- 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
- 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。
勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。
第6章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第6章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
IoTシステム開発では、本格的な開発の前に機能や技術の一部へ絞り、新しい技術やアイデアが実現できるかどうかを実証・検証する開発が盛んに行われている。「概念実証」を意味するこの開発を1と呼ぶ。
答えと解説を見る
正解は 2(PoC)です。
【概要】
PoCはProof of Conceptの略で、概念実証と呼ばれる。新技術やアイデアの実現可能性を、本開発の前に機能や技術の一部へ絞って実証・検証する。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. ラピッド・プロトタイピングあなたの解答 ラピッド・プロトタイピングは、3Dプリンタなどを使って迅速に試作する手法であり、概念実証を意味する本問の語ではない。
- 2. PoC正解あなたの解答 PoCは、新技術やアイデアの実現可能性を実証・検証する開発で、概念実証を意味するため、問題文の説明に合う。
- 3. FabLabあなたの解答 FabLabは、3Dプリンタやレーザカッターなどを利用できる市民工房のネットワークであり、実現可能性を検証する開発の名称ではない。
- 4. メイカームーブメントあなたの解答 メイカームーブメントは、誰もが簡単に安価でモノづくりできる環境を広げた動きであり、概念実証を意味する語ではない。
問2
MQTTはパブリッシュ/サブスクライブ型のモデルを採用しており、メッセージが相手に届くことをどの程度保証するかを示すレベルとして1を指定できる。
答えと解説を見る
正解は 4(QoS)です。
【概要】
QoSは、MQTTでメッセージが届くことをどの程度保証するかを表すレベルである。MQTTは双方向で1対nの通信ができ、QoSなどを指定できる。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. TLSあなたの解答 TLSは、データを秘匿したい場合の暗号化に使われるセキュリティプロトコルであり、メッセージの到達保証レベルではない。
- 2. RSSIあなたの解答 RSSIは、受信信号強度を表す値であり、ワイヤレス通信機器の電波の強さを調べるものなので、到達保証レベルではない。
- 3. willあなたの解答 willは、クライアントの接続が意図せず切れたときにサーバからサブスクライバーへ知らせる遺言の機能であり、到達保証レベルとは別の指定である。
- 4. QoS正解あなたの解答 QoSは、メッセージの到達保証レベルを表し、MQTTで指定できる項目であるため、問題文の内容に合う。
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よくある質問
プロトタイピング開発の目的は何ですか?
モデルを作って確かめること、設計方法が妥当かの検証、先行して検証して手戻りを減らすこと、開発工数を減らすことです。製品開発の設計段階で行う事前検討に位置づけられます。
PoC とプロトタイピングは同じですか?
PoC(概念実証)は、新しい技術やアイデアの実現可能性を、本開発の前に機能や技術の一部へ絞って検証することです。プロトタイプで仮説を確かめる考え方として、プロトタイピングと関わりの深い用語です。
試作の段階でも、セキュリティを考える必要がありますか?
はい。もちこ道場の問題では、試作の段階でも目的に合わせたセキュリティ対策を考えること、機器どうしやサーバとつながる部分では通信の暗号化やパスワード化が求められること、として出ています。
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