第4章 IoT通信方式の要点
近距離無線、LPWA、5G、MQTT などを整理

更新日 2026年10月26日 読む時間の目安 約6分
この記事の要点
  • 第4章は、IoTの通信の章です。電波の性質、近距離の無線、LPWA、5G、そしてデータを運ぶプロトコルまでを扱います。
  • ZigBee と Wi-SUN、LTE-M と NB-IoT、隠れ端末問題と晒し端末問題、MQTT と CoAP のような、似た規格の違いが問われます。
  • 用語は「電波」「近距離無線」「ネットワークの形」「広域・LPWA」「5G」「プロトコル」の6つに分けると覚えやすくなります。
この記事の目次
  1. この章で問われること
  2. 6つのまとまりと押さえる用語
  3. 取り違えやすい組み合わせ
  4. この章の勉強の進め方
  5. 第4章の問題を解いてみる
  6. よくある質問

この章で問われること

第4章「IoT通信方式」は、IoTデバイスとゲートウェイ、サーバをつなぐ通信の技術を扱います。第2章で出てきた「IoTエリアネットワーク」と「広域通信網」を、電波の性質から具体的な規格まで掘り下げる章です。

本番の80問のうち、第4章からは12問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(80問・90分)は、出題範囲の分野の割合に合わせて章ごとの問題数を決めていて、第4章からは12問を出しています。試験全体の15%にあたります。

もちこ道場の第4章の問題は50問です。形式ごとの内訳は、次のとおりです。

形式 問題数
穴埋め(1か所) 20問
穴埋め(組み合わせ) 10問
正しい記述を選ぶ 10問
誤った記述を選ぶ 10問

出てくる用語は、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。

第4章の用語の6つのまとまり 1. 電波と周波数 ISMバンド・フェージング 2. 近距離の無線 BLE・ZigBee・Wi-SUN 3. ネットワークの形 メッシュ・CSMA/CA 4. 広域とLPWA LTE-M・NB-IoT 5. 5G eMBB・URLLC・mMTC 6. プロトコル MQTT・CoAP・LwM2M
第4章の用語の6つのまとまり(もちこ道場のまとめ)

6つのまとまりと押さえる用語

1. 電波と周波数

用語 ひとことで
周波数と性質 高いほど直進性や損失が大きく、伝送容量は増え、アンテナは小さくできる
ISM バンド 産業・科学・医療向けの周波数帯。IoT の無線機器の多くが使い、混信に注意が要る
2.4GHz帯 無線 LAN や Bluetooth などが使う。電子レンジなどからの混信に注意
マルチパスフェージング 移動すると、受信電波の強度が大きく変動する現象(逆位相の電波が加わると強度が0になる場所もある)
免許不要の無線局 微弱無線局、特定小電力無線局、小電力データ通信システム、簡易無線局。技術基準に適合した表示があれば免許は不要

2. 近距離の無線とタグ

用語 ひとことで
BLE 通信距離が短く速度も低いが、ボタン電池一つで数年動かせるほど低消費電力
ZigBee IEEE802.15.4 系で、主に2.4GHz帯。マルチホップ対応
Wi-SUN IEEE802.15.4 系で、主に920MHz帯。スマートメータの B ルートの標準プロトコル
無線 LAN の暗号化 WEP、WPA、WPA2、WPA3。暗号強度の高い WPA2 などを使い、他の対策と組み合わせる
RFID リーダの電波で動くパッシブタグと、電池内蔵のアクティブタグがある
PLC 家庭の電力線を通信路に使う。新たな配線が要らない

3. ネットワークの形と衝突の回避

用語 ひとことで
スター型・ツリー型・メッシュ型 ゲートウェイが常に受信待ちになる形(小電力向きではない)、上位ほど情報量が増える形、経路を複数持てる形
マルチホップ通信 ノード間の無線を多段に中継し、直接届く範囲を超えて伝送する
コーディネータ ツリー型で、各デバイスに混信しない送信時間を割り当てる
CSMA/CA 他の通信の有無を確かめ、電波がないときだけ送信して衝突を避ける
RTS/CTS 無線 LAN で、隠れ端末問題などへの対処に使う

4. 広域通信と LPWA

用語 ひとことで
LPWA 通信頻度もデータ量も少ない用途向けに、コストと消費電力を抑え、広いエリアで使える無線方式
LTE Cat.M1(LTE-M) 3GPP が規格化。ハンドオーバに対応し、LPWA の中では高速で、無線によるファームウェア更新も使える
NB-IoT 3GPP が規格化した LPWA
非セルラー系 LPWA アンライセンスバンド(国内では主に920MHz帯)を使う。Sigfox、LoRaWAN、ELTRES、ZETA など

5. 5G

用語 ひとことで
eMBB・URLLC・mMTC 超高速大容量、超高信頼・低遅延、超大量デバイス接続の三つの要求条件
ネットワーク・スライシング 5G の中核と無線アクセスを仮想的に区切り、要求の違いに応じて通信を分ける
MEC データ処理のサーバを基地局の近くに置き、遅延を減らす
NSA 構成 LTE の設備と 5G の基地局を組み合わせて動かす 5G の構成

6. IoT のプロトコル

用語 ひとことで
MQTT 軽量なプロトコル。ブローカーを介し、トピックで受信者を制御する発行者と購読者の1対多の通信
CoAP M2M 向けの Web 上の転送プロトコル。手続きと時間を減らして低コスト・低消費電力
LwM2M 軽量なデバイス管理用プロトコル。設定管理やファームウェアの更新に使い、CoAP でメッセージを運ぶ
WebSocket セッションを保ったまま、双方向のリアルタイム通信を行う
オーバーヘッド プロトコルのヘッダなどで、実際に流れるデータ量は送信データより大きくなる。少量データほどヘッダの比率が高い

取り違えやすい組み合わせ

組み合わせ 見分け方
ZigBee と Wi-SUN 主に2.4GHz帯か、主に920MHz帯か(スマートメータ向けは Wi-SUN)
LTE-M と NB-IoT どちらも 3GPP の方式。LTE-M はハンドオーバに対応し、LPWA の中では高速
パッシブタグとアクティブタグ リーダの電波で動くか、内蔵の電池で動くか
隠れ端末問題と晒し端末問題 互いの電波が届かない端末どうしが同時に送って衝突する(隠れ端末)か、近くの別の通信の電波が聞こえて、送れるのに送信を控えてしまう(晒し端末)か
ネットワーク・スライシングと MEC 網を仮想的に区切るか、サーバを基地局の近くに置くか
MQTT と LwM2M 発行者と購読者の通信か、デバイス管理か
CSMA/CA と RTS/CTS 送る前に電波の有無を確かめるか、無線 LAN の隠れ端末などへの対処に使うか

この章の勉強の進め方

  1. 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
  2. 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
  3. 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。

勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。

第4章の問題を2問、解いてみる

もちこ道場の第4章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。

問1

無線LANでは、送信しようとするIoTデバイスがまず使用するチャネルが他の通信で使われているかを確認し、電波がない場合だけ送信することで、複数のデバイスがAPと通信するときの衝突を避ける。この技術を1という。

答えと解説を見る

正解は 1(CSMA/CA)です。

【概要】

CSMA/CAは、キャリアセンスで他の通信の有無を確かめ、電波がないときだけ送信する衝突回避の技術である。これにより、複数のIoTデバイスが1つのAPにアクセスできる。

【図解】実験的機能

無線LANの規格・暗号化・衝突回避 無線LANの規格・暗号化・衝突回避

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. CSMA/CA正解あなたの解答 問題文の、チャネルの使用状況の確認、電波がない場合だけ送信という手順に合う。
  • 2. RTS/CTSあなたの解答 RTS/CTSは、隠れ端末問題を避けるために、送信要求と送信許可の信号をやり取りして電波の衝突を避ける制御であり、本問の手順とは異なる。
  • 3. MACアドレスフィルタリングあなたの解答 MACアドレスフィルタリングは、接続する端末を指定してそれ以外を拒否するセキュリティ対策であり、衝突回避の技術ではない。
  • 4. ポーリングあなたの解答 ポーリングは、AP側が順番にデバイスへ問い合わせる方法であり、デバイスが電波の有無を確認してから送信する技術ではない。

問2

メッセージ発行者と購読者の間の1対多のメッセージ通信を、仲介者のブローカーを介して行うPub/Subモデルを採用したプロトコルで、トピックによって誰がどのメッセージを受け取るかを制御する、シンプルで軽量、低消費電力なものを1という。

答えと解説を見る

正解は 3(MQTT)です。

【概要】

MQTTは、IBM社などのメンバが考案した軽量なプロトコルである。メッセージ発行者と購読者の間の1対多の通信を、ブローカーを介して行い、トピックで受信者を制御する。

【図解】実験的機能

MQTT のブローカーによる配信と QoS MQTT のブローカーによる配信と QoS

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. HTTPあなたの解答 HTTPは、前回の通信状態を保持しないステートレスなプロトコルであり、ヘッダ情報が多く、小さなデータを扱うIoTの用途には不向きな面がある。Pub/Subモデルではない。
  • 2. CoAPあなたの解答 CoAPは、UDPを土台にしてヘッダを小さくしたM2M向けのプロトコルである。ブローカーを介するPub/Subモデルではない。
  • 3. MQTT正解あなたの解答 問題文のPub/Subモデル、ブローカー、トピックによる制御、軽量で低消費電力という特徴がそろう。
  • 4. WebSocketあなたの解答 WebSocketは、セッションを保ったまま双方向でリアルタイムにやり取りするプロトコルであり、ブローカーを介するPub/Subモデルではない。
問題を解いて確かめる

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よくある質問

電波の周波数が高いと、何が変わりますか?

もちこ道場の問題では、周波数が高いほど伝搬損失・直進性・透過損失が大きくなり、一方で情報伝送容量は増え、アンテナは小さくて済む、という形で出ます。透過損失が小さくなるとする記述は誤りです。

ZigBee と Wi-SUN は、どう見分けますか?

どちらも IEEE802.15.4 系の規格を使い、マルチホップ通信に対応します。違いは周波数で、ZigBee は主に2.4GHz帯、Wi-SUN は主に920MHz帯です。Wi-SUN はスマートメータの検針用に策定された規格です。

5G の三つの要求条件は何ですか?

超高速大容量通信(eMBB)、超高信頼・低遅延通信(URLLC)、超大量デバイス接続(mMTC)です。これらを単一の網で同時に満たすのは、技術面でもコスト面でも難しいため、ネットワーク・スライシングのような技術で分けます。

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出典・注記

出題範囲は、2026年10月26日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。

  1. IoTシステム技術検定 中級(MCPC 公式)