第2章 IoTシステムのコンピューティング技術の要点
エッジとクラウド、収集と遠隔制御の方式を整理
- 第2章は、IoTシステムの3つの要素(デバイス・ゲートウェイ・サーバ)と、処理をどこで行うか(エッジとクラウド)、データをどう集め、どう遠隔制御するかの章です。
- IaaS・PaaS・SaaS・BaaS、一時蓄積と区間集約、ポーリングとロングポーリングのように、似た名前の方式の違いが問われます。
- 用語は「何を決める話か」で6つに分けると覚えやすくなります。
この章で問われること
第2章「IoTシステムのコンピューティング技術」は、第1章で見たIoTシステムの全体像を、処理をどこで行うかとデータをどうやり取りするかの面から掘り下げる章です。次の第3章でデータの中身(蓄積・分析)を、第4章で通信を扱います。
本番の80問のうち、第2章からは10問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(80問・90分)は、出題範囲の分野の割合に合わせて章ごとの問題数を決めていて、第2章からは10問を出しています。試験全体の約13%にあたります。
もちこ道場の第2章の問題は50問です。形式ごとの内訳は、次のとおりです。
| 形式 | 問題数 |
|---|---|
| 穴埋め(1か所) | 20問 |
| 穴埋め(組み合わせ) | 10問 |
| 正しい記述を選ぶ | 10問 |
| 誤った記述を選ぶ | 10問 |
出てくる用語は、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。
6つのまとまりと押さえる用語
1. 3つの要素と通信
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| IoTデバイス | データを集める機器 |
| IoTゲートウェイ | 送受信を中継する機器 |
| IoTサーバ | データの蓄積・分析とサービスの提供を担う |
| IoTエリアネットワーク | デバイスとゲートウェイの間の通信。ゲートウェイとサーバの間は広域通信網(WAN) |
| 6LoWPAN・CoAP | IoTエリアネットワーク向けの方式。手続きや通信ヘッダを減らし、低コスト・低消費電力にする |
2. ゲートウェイの働き
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 集約・フィルタリング | デバイスのデータをまとめたり絞ったりして、サーバへ送る |
| プロトコル変換 | IoTエリアネットワークと WAN で異なる通信の約束事を変換する |
| OSGi | ゲートウェイの共通基盤になる Java ベースの技術。バンドルの追加・削除や連携ができる |
| バンドル | OSGi で、JAR 形式のプログラムの単位 |
3. エッジとクラウド
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| エッジコンピューティング | データの発生場所の近くで処理して、伝送遅延を抑え、リアルタイム性を確保する |
| フォグコンピューティング | クラウドと対比した場合のエッジコンピューティングの呼び名 |
| エッジAI | 応答遅延が問題になる分野で、エッジ側で AI を動かす(学習モデルの作成はクラウド、実行はエッジという形がある) |
| Edgecross | 生産現場と IT システムの間にあるエッジ領域の、オープンなソフトウェア基盤 |
4. クラウドサービスの形
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| IaaS | コンピュータシステムの環境そのものを提供する(Amazon EC2/S3 など) |
| PaaS | IaaS を土台に、機能を提供する |
| SaaS | アプリケーションを利用する形 |
| BaaS | PaaS の一部。標準的なバックエンド機能を API で呼び出せる |
| OpenStack | オープンソースのプライベートクラウドを作れるソフトウェア |
5. データ収集と遠隔制御の方式
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 一時蓄積方式 | ゲートウェイにデータをためて、まとめて送る(ネットワーク負荷を抑える) |
| 区間集約方式 | ためたデータの集約(サマリ)だけを送る(ネットワークとストレージの負荷を軽くする) |
| ポーリング方式 | プラットフォーム主導でデータを取りに行く |
| パブリッシュ・サブスクライブ方式 | 配信側と購読側を仲介者でつなぐ収集方式 |
| 双方向通信方式(WebSocket) | 確立後は、サーバ側からも任意のタイミングで通信を始められる |
| ウェイクアップ方式 | スリープ中の機器へ起動信号を送って動かす |
| 直接制御方式 | 外部から機器を直接制御する。悪意ある操作を防ぐアクセス制御が必要 |
6. CPS とシステムの形
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| CPS | 現実のデータをサイバー空間で分析して価値を生み、結果を現実へ戻す仕組み |
| デジタルツイン | 現実のデータをもとにサイバー空間で動きや影響を予測するシミュレーション環境 |
| 垂直統合型システム | 共通の機能を個別に作るため、構築コストが高くなる |
| 水平連携型システム | 共通サービスプラットフォームの上に個別のアプリを作る。コストが下がり、データを共有できる |
取り違えやすい組み合わせ
| 組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| エッジとクラウド | リアルタイム処理(エッジ)か、大規模データの分析・予測(クラウド)か |
| IaaS と PaaS と SaaS | 環境の提供か、その上の機能か、アプリケーションの利用か |
| 一時蓄積と区間集約 | ためたデータをそのまま送るか、集約だけを送るか |
| アップロードとポーリング | デバイス・ゲートウェイ主導か、プラットフォーム主導か |
| CPS とデジタルツイン | 分析結果を現実へ戻す仕組みか、サイバー空間に作るシミュレーション環境か |
| 垂直統合型と水平連携型 | 個別に作るか、共通のプラットフォームの上に作るか |
この章の勉強の進め方
- 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
- 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
- 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。
勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。
第2章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第2章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
小容量のIoTデータが大量に発生する中で、それらを効率的に処理するために、データが発生する場所の近くでコンピュータ処理を行うスタイルを1と呼びます。これは、リアルタイム性を重視し、伝送遅延を低減することを目的としています。
答えと解説を見る
正解は 3(エッジコンピューティング)です。
【概要】
エッジコンピューティングは、データが生じる場所の近くで処理を行い、伝送遅延を抑えてリアルタイム性を確保するコンピューティングのスタイルである。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. クラウドコンピューティングあなたの解答 クラウドコンピューティングはネットワーク上の資源を必要に応じて使う形態で、伝送遅延がネックとなり本問に合わない。
- 2. 集中コンピューティングあなたの解答 集中コンピューティングは処理を一か所の設備にまとめる考え方であり、データの発生源の近くで処理する本問の形態とは逆である。
- 3. エッジコンピューティング正解あなたの解答 エッジコンピューティングは、ユーザに近い場所で処理を行うことで伝送遅延を減らし、リアルタイム性を高める。
- 4. グリッドコンピューティングあなたの解答 グリッドコンピューティングは、多数のコンピュータを連携させて大規模な計算を行う形態であり、発生源の近くで処理する本問の形態ではない。
問2
1分ごとの計測値をIoTゲートウェイに溜め、1時間分の平均値だけをIoTサービスへ送るデータ収集方式を1という。ネットワークとストレージの負荷を軽減できるが、急激な変化や特異点は検出できない。
答えと解説を見る
正解は 1(区間集約方式)です。
【概要】
区間集約方式は、IoTゲートウェイに一時的に蓄積したデータの集約(サマリ)だけをアップロードする。ネットワーク負荷とストレージ負荷の両方を軽減できる。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. 区間集約方式正解あなたの解答 問題文の、平均値だけを送るという手がかりに合い、全データではなく集約のみを送るため特異点は検出できない。
- 2. 逐次収集方式あなたの解答 逐次収集方式は、データが発生するつどや定期的にそのままアップロードする方式であり、集約した値だけを送る方式ではない。
- 3. 一時蓄積方式あなたの解答 一時蓄積方式は、ゲートウェイに溜めたデータをまとめて送る方式であり、全データをサーバに蓄積するため、平均値だけを送る方式ではない。
- 4. ポーリング方式あなたの解答 ポーリング方式は、サービス側が主体となってデータを取りに行く方式であり、ゲートウェイ主導で集約値を送る方式ではない。
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よくある質問
エッジコンピューティングとクラウドコンピューティングは、どう使い分けますか?
もちこ道場の問題では、大規模データの分析や予測はクラウド、リアルタイム処理はエッジが担う、という形で出ます。エッジは、データが生じる場所の近くで処理して伝送遅延を抑えます。役割を逆にした選択肢が誤りとして出ます。
フォグコンピューティングはエッジコンピューティングと別のものですか?
フォグ(霧)コンピューティングは、クラウドと対比した場合の、エッジコンピューティングの呼び名として出題されています。
遠隔制御の5つの方式は、どう覚えますか?
直接制御、ポーリング、ロングポーリング、双方向通信、ウェイクアップの5つです。「だれが先に動くか」で整理します。双方向通信は、確立後にどちら側からも要求を出せる点、ウェイクアップは、スリープ中の機器へ起動信号を送る点が特徴です。
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