第2章 IoTシステムのコンピューティング技術の要点
エッジとクラウド、収集と遠隔制御の方式を整理

更新日 2026年10月26日 読む時間の目安 約6分
この記事の要点
  • 第2章は、IoTシステムの3つの要素(デバイス・ゲートウェイ・サーバ)と、処理をどこで行うか(エッジとクラウド)、データをどう集め、どう遠隔制御するかの章です。
  • IaaS・PaaS・SaaS・BaaS、一時蓄積と区間集約、ポーリングとロングポーリングのように、似た名前の方式の違いが問われます。
  • 用語は「何を決める話か」で6つに分けると覚えやすくなります。
この記事の目次
  1. この章で問われること
  2. 6つのまとまりと押さえる用語
  3. 取り違えやすい組み合わせ
  4. この章の勉強の進め方
  5. 第2章の問題を解いてみる
  6. よくある質問

この章で問われること

第2章「IoTシステムのコンピューティング技術」は、第1章で見たIoTシステムの全体像を、処理をどこで行うかとデータをどうやり取りするかの面から掘り下げる章です。次の第3章でデータの中身(蓄積・分析)を、第4章で通信を扱います。

本番の80問のうち、第2章からは10問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(80問・90分)は、出題範囲の分野の割合に合わせて章ごとの問題数を決めていて、第2章からは10問を出しています。試験全体の約13%にあたります。

もちこ道場の第2章の問題は50問です。形式ごとの内訳は、次のとおりです。

形式 問題数
穴埋め(1か所) 20問
穴埋め(組み合わせ) 10問
正しい記述を選ぶ 10問
誤った記述を選ぶ 10問

出てくる用語は、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。

第2章の用語の6つのまとまり 1. 3つの要素と通信 デバイス・ゲートウェイ 2. ゲートウェイ OSGi・変換 3. エッジとクラウド エッジAI・フォグ 4. クラウドの形 IaaS・PaaS・SaaS 5. 収集と遠隔制御 ポーリング・Pub/Sub 6. CPSとシステムの形 デジタルツイン
第2章の用語の6つのまとまり(もちこ道場のまとめ)

6つのまとまりと押さえる用語

1. 3つの要素と通信

用語 ひとことで
IoTデバイス データを集める機器
IoTゲートウェイ 送受信を中継する機器
IoTサーバ データの蓄積・分析とサービスの提供を担う
IoTエリアネットワーク デバイスとゲートウェイの間の通信。ゲートウェイとサーバの間は広域通信網(WAN)
6LoWPAN・CoAP IoTエリアネットワーク向けの方式。手続きや通信ヘッダを減らし、低コスト・低消費電力にする

2. ゲートウェイの働き

用語 ひとことで
集約・フィルタリング デバイスのデータをまとめたり絞ったりして、サーバへ送る
プロトコル変換 IoTエリアネットワークと WAN で異なる通信の約束事を変換する
OSGi ゲートウェイの共通基盤になる Java ベースの技術。バンドルの追加・削除や連携ができる
バンドル OSGi で、JAR 形式のプログラムの単位

3. エッジとクラウド

用語 ひとことで
エッジコンピューティング データの発生場所の近くで処理して、伝送遅延を抑え、リアルタイム性を確保する
フォグコンピューティング クラウドと対比した場合のエッジコンピューティングの呼び名
エッジAI 応答遅延が問題になる分野で、エッジ側で AI を動かす(学習モデルの作成はクラウド、実行はエッジという形がある)
Edgecross 生産現場と IT システムの間にあるエッジ領域の、オープンなソフトウェア基盤

4. クラウドサービスの形

用語 ひとことで
IaaS コンピュータシステムの環境そのものを提供する(Amazon EC2/S3 など)
PaaS IaaS を土台に、機能を提供する
SaaS アプリケーションを利用する形
BaaS PaaS の一部。標準的なバックエンド機能を API で呼び出せる
OpenStack オープンソースのプライベートクラウドを作れるソフトウェア

5. データ収集と遠隔制御の方式

用語 ひとことで
一時蓄積方式 ゲートウェイにデータをためて、まとめて送る(ネットワーク負荷を抑える)
区間集約方式 ためたデータの集約(サマリ)だけを送る(ネットワークとストレージの負荷を軽くする)
ポーリング方式 プラットフォーム主導でデータを取りに行く
パブリッシュ・サブスクライブ方式 配信側と購読側を仲介者でつなぐ収集方式
双方向通信方式(WebSocket) 確立後は、サーバ側からも任意のタイミングで通信を始められる
ウェイクアップ方式 スリープ中の機器へ起動信号を送って動かす
直接制御方式 外部から機器を直接制御する。悪意ある操作を防ぐアクセス制御が必要

6. CPS とシステムの形

用語 ひとことで
CPS 現実のデータをサイバー空間で分析して価値を生み、結果を現実へ戻す仕組み
デジタルツイン 現実のデータをもとにサイバー空間で動きや影響を予測するシミュレーション環境
垂直統合型システム 共通の機能を個別に作るため、構築コストが高くなる
水平連携型システム 共通サービスプラットフォームの上に個別のアプリを作る。コストが下がり、データを共有できる

取り違えやすい組み合わせ

組み合わせ 見分け方
エッジとクラウド リアルタイム処理(エッジ)か、大規模データの分析・予測(クラウド)か
IaaS と PaaS と SaaS 環境の提供か、その上の機能か、アプリケーションの利用か
一時蓄積と区間集約 ためたデータをそのまま送るか、集約だけを送るか
アップロードとポーリング デバイス・ゲートウェイ主導か、プラットフォーム主導か
CPS とデジタルツイン 分析結果を現実へ戻す仕組みか、サイバー空間に作るシミュレーション環境か
垂直統合型と水平連携型 個別に作るか、共通のプラットフォームの上に作るか

この章の勉強の進め方

  1. 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
  2. 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
  3. 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。

勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。

第2章の問題を2問、解いてみる

もちこ道場の第2章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。

問1

小容量のIoTデータが大量に発生する中で、それらを効率的に処理するために、データが発生する場所の近くでコンピュータ処理を行うスタイルを1と呼びます。これは、リアルタイム性を重視し、伝送遅延を低減することを目的としています。

答えと解説を見る

正解は 3(エッジコンピューティング)です。

【概要】

エッジコンピューティングは、データが生じる場所の近くで処理を行い、伝送遅延を抑えてリアルタイム性を確保するコンピューティングのスタイルである。

【図解】実験的機能

エッジとクラウドの役割分担 エッジとクラウドの役割分担

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. クラウドコンピューティングあなたの解答 クラウドコンピューティングはネットワーク上の資源を必要に応じて使う形態で、伝送遅延がネックとなり本問に合わない。
  • 2. 集中コンピューティングあなたの解答 集中コンピューティングは処理を一か所の設備にまとめる考え方であり、データの発生源の近くで処理する本問の形態とは逆である。
  • 3. エッジコンピューティング正解あなたの解答 エッジコンピューティングは、ユーザに近い場所で処理を行うことで伝送遅延を減らし、リアルタイム性を高める。
  • 4. グリッドコンピューティングあなたの解答 グリッドコンピューティングは、多数のコンピュータを連携させて大規模な計算を行う形態であり、発生源の近くで処理する本問の形態ではない。

問2

1分ごとの計測値をIoTゲートウェイに溜め、1時間分の平均値だけをIoTサービスへ送るデータ収集方式を1という。ネットワークとストレージの負荷を軽減できるが、急激な変化や特異点は検出できない。

答えと解説を見る

正解は 1(区間集約方式)です。

【概要】

区間集約方式は、IoTゲートウェイに一時的に蓄積したデータの集約(サマリ)だけをアップロードする。ネットワーク負荷とストレージ負荷の両方を軽減できる。

【図解】実験的機能

IoTシステムのデータ収集方式 IoTシステムのデータ収集方式

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. 区間集約方式正解あなたの解答 問題文の、平均値だけを送るという手がかりに合い、全データではなく集約のみを送るため特異点は検出できない。
  • 2. 逐次収集方式あなたの解答 逐次収集方式は、データが発生するつどや定期的にそのままアップロードする方式であり、集約した値だけを送る方式ではない。
  • 3. 一時蓄積方式あなたの解答 一時蓄積方式は、ゲートウェイに溜めたデータをまとめて送る方式であり、全データをサーバに蓄積するため、平均値だけを送る方式ではない。
  • 4. ポーリング方式あなたの解答 ポーリング方式は、サービス側が主体となってデータを取りに行く方式であり、ゲートウェイ主導で集約値を送る方式ではない。
問題を解いて確かめる

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よくある質問

エッジコンピューティングとクラウドコンピューティングは、どう使い分けますか?

もちこ道場の問題では、大規模データの分析や予測はクラウド、リアルタイム処理はエッジが担う、という形で出ます。エッジは、データが生じる場所の近くで処理して伝送遅延を抑えます。役割を逆にした選択肢が誤りとして出ます。

フォグコンピューティングはエッジコンピューティングと別のものですか?

フォグ(霧)コンピューティングは、クラウドと対比した場合の、エッジコンピューティングの呼び名として出題されています。

遠隔制御の5つの方式は、どう覚えますか?

直接制御、ポーリング、ロングポーリング、双方向通信、ウェイクアップの5つです。「だれが先に動くか」で整理します。双方向通信は、確立後にどちら側からも要求を出せる点、ウェイクアップは、スリープ中の機器へ起動信号を送る点が特徴です。

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出典・注記

出題範囲は、2026年10月26日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。

  1. IoTシステム技術検定 中級(MCPC 公式)